前回の記事で、中古車販売業者(中古車屋さん)が保有する在庫車両に係る自動車税は、「租税公課」として費用処理すべきである!と記載しましたが、今回はその根拠について、税務上の取扱いを交えながら詳細解説していきます。
購入した棚卸資産の取得価額
まず、税務の規定(税法や基本通達)をご紹介します。
購入した棚卸資産の取得価額には、その購入代価だけでなく、これを消費し又は販売の用に供するために直接要したすべての費用を含めなければなりません。具体的には、次の費用は、取得価額に算入しなければならないとされております。
①引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税(附帯税を除く。)等その購入に要した費用(いわゆる引取費用=直接の附随費用)
②買入事務、検収、整理、選別、手入等に要した費用
③販売所等から販売所等へ棚卸資産を移管するために要した運賃、荷造費等の費用
④特別の時期に販売する等のため長期にわたって保管するために要した費用
ただし、②から④までの費用(=間接の附随費用)でその金額の合計額が少額(購入代価のおおむね3%以内の金額)である場合には、取得価額に算入しなくても良いとされています。
少し分かり辛いですが、つまりは、「車やバイクの仕入金額だけでなく、商品として販売する為の直接経費は棚卸資産として資産計上しなさい」と税務は規定している訳です。
このこと自体は、大して難しい話ではないのですが、「どこまでが棚卸資産として資産計上しなければならない直接経費か?」という判断が問題となります。
在庫車両に係る自動車税の取扱い
ここで在庫車両に係る自動車税の取り扱いに話を戻します。
自動車税という税金は、登録自動車を所有している事実に対して課税される税金ですので、棚卸資産として計上しなければならない直接の附随費用には該当せず、いわゆる保管費用と同様の取扱いが適切だと考えられます。
あれ?確か棚卸資産として資産計上しなければならない費用の中に「特別の時期に販売する等のため長期にわたって保管するために要した費用」というのがありましたよね…。
もしかしたら、これに該当するのでは…?
しかし、ご安心下さい。
ここでいう「特別な時期」とは、お正月用品などの季節商品や、長期在庫調整品を示しており、「長期にわたって」の長期という期間も明確な定めはありませんが、少なくとも半年以上は保管することを前提としております。
よって、「オープンカーは春先にしか売らない!」との拘りがある様な場合を除いては、車やバイクの在庫保管費用は、日々の費用として処理して差し支えないこととなります。
以上、今回は少々複雑な内容が含まれておりましたが、最後までお読み頂き有難うございました。
